偽義経冥界歌

中島さん、相当大変だったんではないかなあと。毎回本当に思いますけど、今回も。
客演にはちゃんと特質にあった出番と活躍の場を与えなきゃならない。
勿論それが当然のようにできてこそプロの脚本家なんだって言われればそうなんですけど、今回どうしてもそちらをメインに、ストーリー展開の面白さやカタルシスというものは二の次になっていたような感覚を覚えてしまいました。
そのくせじゅんさんと山内さんのキャラクターは完全にどっちか一人だけでよかったような気がするという謎。
ほとんどずっと一緒に行動してるし。
全部が全部うまくは配置できないのは仕方ないですね。
でもそういうことが気になっちゃうということは……そういうことなんだと思います。
斗真さんの熱量と演じっぷりで何とかなっている気がしてしまった。
逆に言うと斗真さんが本当に凄い。
新感線と演劇を本当に大好きなんだなあとしみじみ感じました。全身から溢れ出てました。

 

歌と踊りがあるから上演時間が長くなってしまうんだけど、思い返してみるとそんなに歌いまくっていたわけでもないような気がする…。
最初、説明をちゃっちゃとしてたのでテンポいいなーと思ってたんですが、一幕終盤にいくにつれて話が入り組んでいく過程で長さをちょっと感じました。
立場がコロコロ変わるのが、私の理解力が追いついてないせいもあると思いますが、その時点その時点できちっと理解できず話が進んでしまった印象でした。
母と子・父と子・兄と弟・母と父・偽物と本物・生者と死者、色んな対比が散りばめられているのに、そのどれにもフォーカスせず、ぼんやり終わった感じ。
勝手に偽物と本物が入れ替わるということを軸に、親子兄弟のドラマを描いていくのかなと思っていたので、拍子抜けというか。
ぶっちゃけ冥界の人々がごちゃごちゃしすぎじゃないですかね。
「あれ、死んでなかったの?(いや、死んでるけど、成仏するという意味で)」って登場する度に思いました…。

 

斗真さん、おバカキャラ。殺陣してるときだけはかっこいい。
途中で戦バカになってその流れで覚醒するのか!?(おバカキャラからの脱皮という意味で)と思ったんですけど、後半になってもおバカキャラのままでした。
そのキャラクターあってこその、終盤の自分との対峙ではあるのですが。
個人的には、「今回は斗真さんに完全に二枚目の超絶かっこいいキャラクターを!!」と思っていたので、またおバカキャラと知ってちょっとがっかりだったのでした。
本人は本当に真摯に舞台に向き合っているし、実際ほぼ完璧なのではというくらい安定しているので、それがまた何というかじれったいなーと。
次回こそは、本気の二枚目を見たいですね。

 

さとしさん、めっちゃかっこいい!!
そしてこれ完全に主役では…?と。
冥界人になってから発奮するときにメタルマクベスみたいな音楽が鳴るので、すわ「メタルマクベス始まった!?」ってなってました(disc1未見)。

 

早乙女さん、鬼のように殺陣があります。文句なしに今回の殺陣担当です。
たまたま見た回で立ち回りの途中、刀を落としたっぽいんですが、さりげないカバーでした(同じシーンで出てた圭哉さんの方がキョドってたように見えた)。
月髑髏の早乙女天魔王みがありましたね。
というか、声とかセリフ回しがやっぱり似てるな~。さすが兄弟だな~。
義経(本物)がああいうキャラなのはとても面白くはありました。

 

優馬さんが歌う流れになったときに「中島さん本当にお疲れさまです」と強く思ったのでした。
殺陣もある。最初から最後までコンスタントに出てる。おまけにクライマックスに歌う。
VBBの時の神山さんとは比べものにならない出番です。グループに属してないとこうも違ってくるのかと勉強になりました。
ファンの方は大満足なんじゃないでしょうか。
全体的にクセがなくてそつがない感じでした。

 

藤原さん、芝居はほとんどなくてほぼ全部歌。
お芝居はあんまり、なのかな?
最初闘いが始まったというのに歌い出して「おいおい逃げろよ…」となったのですが、そういう様式美なんですねと、納得しました。
静歌という役柄の雰囲気はSHIROHの寿庵+シロー、かな、何となく。
アッキーのようなガツンと来るタイプの歌声ではなくて、味わい深い声という感じでした。
曲もしっとりした調子。ので、個人的にはツボらなかったです。

 

周りがみんなキャラが濃いからよりそう感じるのかもしれませんが、藤原さんと優馬さん、二人とも薄味でしたね。
そしてクライマックスの静歌と次郎のデュエットは、もうちょっと声出した方がいいんでは…。
二人の声の力で義経(偽)のパワーアップっていう流れなのに、全然声量が足りてない感。

 

総合的に、「つまらん!!」というわけではないんだけど、高揚とか興奮とかはさほどなく、面白くはあるけど、演者が大変そうだというのを強く思ってしまったのでした。

 

今回一番よかったのは冥界人の衣装&メイク。ここは文句なしです!!
あと、新谷さんのくくりはマイツボに大変ハマりました。オカッパちゃんー。